【 独身女性の老後資金計画 】老後までに結局いくら貯めればいいの！？

今回は 独身女性の老後資金計画 として、いわゆる老後2000万円問題について考えてみます。

　

老後２０００万問題とは

2019年6月に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書で「老後の30年間で約2,000万円が不足する」と発表されて話題になった問題のことです。

高齢夫婦の無職世帯における毎月の赤字額が約5万円で、20年で約1300万円、30年で約2000万円不足するという試算から、世の中の常識として

となったわけです。

老後の30年間というのは、定年して年金をもらい始める65歳から95歳までを想定した30年間です。

話題になったのは、2019年6月頃でしたから、もう5年も前なんですね。

この『2000万円』というのは、5年前の物価から変動しない前提で計算されています。

　※2019年6月に金融庁が発表した実際の資料が読みたい方はコチラ

が、どうでしょうか、物価はかなり上がりましたし、5年前には想定していなかった程の円安です。

　

年金は本当に65歳から受け取れるの？

2024年6月現在、年金は原則として65歳から受給できます。

もしかすると、ミレニアム世代の方はご存知ないかもしれませんが、以前は60歳から受け取れました。

2000年の法律改正で、老齢厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられました。

その後も年金基金が潤っているという話は聞きませんし、少子高齢化は進んでいますので、近い将来、支給開始年齢が70歳に引き上げられるなどの法改正が行われる可能性は十分ありそうですね。

　

何歳まで働かないといけないの？

老後2000万円問題の前提は、65歳から無職で年金受給して毎月5万円足りない、というものです。

例えば、70歳にならないと年金がもらえない（もらえたとしても減額される）のであれば、70歳になるまで働くしかありませんが、

果たしてその時、自分は働ける身体なのでしょうか？

働かせてくれる職場があるのでしょうか？

働いてどのくらいのお給料がもらえるのでしょうか？

　

結局老後にいくら貯金が必要なの？

老後2000万円問題を巻き起こした例の金融庁の報告書によると、公的年金を含めた実収入が20万9,198円、標準的な生活を送るための生活費が26万3,718円です。

しかし、その3年後、令和3年の厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」では、会社員が加入する厚生年金保険受給権者（受給する権利がある人）の平均年金月額は、男性が16万3380円、女性が10万4686円です。

生涯独身の女性で、男性と同じような給料でずっと働いていても、月に16万円程度です。

総務省統計局のデータによると、65歳以上の女性単身世帯の1ヶ月間の支出額は約15万円らしいですが、これで足りている自分が想像できますか？

　

そして女性は長生きです。

医療費負担も物価もどんどん上がっています。

さらに、2022年の日本人の女性の平均寿命は87.09歳ですが、2022年に死亡した人の中でもっとも多い年齢は女性が93歳です。

　

ということで、今までの情報と妄想を元に、以下の条件で貯金額を考えてみましょう。

【条件】
・独身女性（老後に旦那や家族の収入をあてにしない女性）
・年金は70歳から満額もらえる
・年金は毎月10万円支給される
・最低限の生活には20万円/月、普通の生活には25万円/月、余裕の生活には30万円/月 必要
・95歳で天に召される

　

60歳まで働く場合

40代以上の場合、60歳定年の時代を知っているので「60歳までしか働きたくない！」という気持ちになる人も少なくないと思います。

40代以上のこの世代は「定年60歳、できれば50代でセミリタイア」という夢を忘れていない人も多いのです。

そんな「60歳までしか働きたくない！」独身女性の場合、老後（60歳）までに貯めなければいけない金額を考えてみましょう。

【条件】
・独身女性（老後に旦那や家族の収入をあてにしない女性）
・年金は70歳から満額もらえる
・年金は毎月10万円支給される
・最低限の生活には20万円/月、普通の生活には25万円/月、余裕の生活には30万円/月 必要
・95歳で天に召される

【60歳で引退して70歳から年金をもらう場合　※毎月の生活費25万円】
60～70歳まで　必要生活費 25万円/月 × 12ヶ月 × 10年 ＝ 3000万円
70～95歳まで　必要生活費 （25-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 4500万円
⇒ 合計必要貯金額 ： 7500万円

現在のあなたの年齢と収入にもよりますが、7500万円の貯金はかなりきついのでは・・・。

ということで、もう少し現実的に、生活レベルを少し落とします。

【60歳で引退して70歳から年金をもらう場合　※毎月の生活費20万円】
60～70歳まで　必要生活費 20万円/月 × 12ヶ月 × 10年 ＝ 2400万円
70～95歳まで　必要生活費 （20-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 3000万円
⇒ 合計必要貯金額 ： 5400万円

それでも5400万円必要です。

ウクライナ戦争以降のここ数年の物価上昇傾向を考えたら、月20万円での生活は厳しそうな気もしますね。

やっぱり、もう少し働きましょう。

　

65歳まで働く場合

60歳で現役引退出来たらいいけど、今でも定年は65歳だし、65歳まで働くイメージで生きている方も多いのではないでしょうか。

【条件】
・独身女性（老後に旦那や家族の収入をあてにしない女性）
・年金は70歳から満額もらえる
・年金は毎月10万円支給される
・最低限の生活には20万円/月、普通の生活には25万円/月、余裕の生活には30万円/月 必要
・95歳で天に召される

【65歳で引退して70歳から年金をもらう場合　※毎月の生活費25万円】
65～70歳まで　必要生活費 25万円/月 × 12ヶ月 × 5年 ＝ 1500万円
70～95歳まで　必要生活費 （25-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 4500万円
⇒ 合計必要貯金額 ： 6000万円

やっぱり5000万円超えるとダメージが・・・

【65歳で引退して70歳から年金をもらう場合　※毎月の生活費20万円】
65～70歳まで　必要生活費 20万円/月 × 12ヶ月 × 5年 ＝ 1200万円
70～95歳まで　必要生活費 （20-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 3000万円
⇒ 合計必要貯金額 ： 4200万円

ここでやっと5000万円を切りましたね。

しかしこれ、「65歳引退 ＆ 最低限の生活」という、現時点で多くの人が想像している生活に必要な資産額です。

やはり、年金もらえるまで働きましょうよ。

　

70歳まで働く場合

この想定では年金受給開始が70歳なので、「年金もらえるまでは働きます！」ということです。

さて、どうなるでしょうか。

【条件】
・独身女性（老後に旦那や家族の収入をあてにしない女性）
・年金は70歳から満額もらえる
・年金は毎月10万円支給される
・最低限の生活には20万円/月、普通の生活には25万円/月、余裕の生活には30万円/月 必要
・95歳で天に召される

【70歳で引退して年金をもらう場合　※毎月の生活費25万円】
70～95歳まで　必要生活費 （25-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 4500万円
⇒ 合計必要貯金額 ： 4500万円

【70歳で引退して年金をもらう場合　※毎月の生活費20万円】
70～95歳まで　必要生活費 （20-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 3000万円
⇒ 合計必要貯金額 ： 3000万円

70歳まで身体にムチ打って働いても、その後の老後に3000万円は必要になる計算結果が出てしまいました。

　

まとめ

結論、老後に必要なのは2000万円ではありませんでした。

今回行った勝手な計算をまとめたのがこちら。

【条件】
・独身女性（老後に旦那や家族の収入をあてにしない女性）
・年金は70歳から満額もらえる
・年金は毎月10万円支給される
・最低限の生活には20万円/月、普通の生活には25万円/月、余裕の生活には30万円/月 必要
・95歳で天に召される

リタイアする年齢	毎月の生活費	必要な貯金額	計算方法
60歳	25万円	7500万円	60～70歳まで　25万円/月 × 12ヶ月 × 10年 ＝ 3000万円 70～95歳まで　（25-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 4500万円
	20万円	5400万円	60～70歳まで　20万円/月 × 12ヶ月 × 10年 ＝ 2400万円 70～95歳まで　（20-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 3000万円
65歳	25万円	6000万円	65～70歳まで　25万円/月 × 12ヶ月 × 5年 ＝ 1500万円 70～95歳まで　（25-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 4500万円
	20万円	4200万円	65～70歳まで　20万円/月 × 12ヶ月 × 5年 ＝ 1200万円 70～95歳まで　（20-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 3000万円
70歳	25万円	4500万円	70～95歳まで　 （25-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 4500万円
	20万円	3000万円	70～95歳まで　（20-10）万円/月 × 12ヶ月 × 25年 ＝ 3000万円