「 事務員はいらない 」とコロナ前から言われ続けていましたが、20年後にやってくると思っていた未来が、5年後にはやってきそうなイメージです。
コロナ禍で事務の仕事も色々と大きく変わりました。事務職の仕事に影響を与えたのは、Zoomなどに代表されるWebミーティングによるや、AI、chatGPTなどの自動効率化ツールの普及などです。
コロナ前もRPAの推進を進める声はありましたが、正直「大きな会社や製造業のやることでしょ」「RPA作るのに人が必要でしょ」くらいの雰囲気でした。「事務員がどれだけ無駄だと言われても、事務所には電話番や受付が必要でしょ」という感じでしたが、コロナ禍でリモートワークができることが証明されてしまいましたね。
世の事務員たちは本当にこのままAIに仕事をとられてしまうのでしょうか!?
事務員はいらない と言われている理由
AIなどの自動化システムやIT技術の推進
事務員はいらない と言われる主な理由は、事務職は「誰にでもできる仕事」だと思っている人が多いからです。誰にでも出来る仕事というイメージが強いんですね。
たしかに、事務職はある程度のPC作業ができれば誰にでも出来る仕事も多く、向き不向きはあれど作業自体は比較的簡単な応用も必要ない仕事がほとんどです。
そして、そのような作業はRPAやマクロなどで自動化することができます。
しかも機械は人間より短時間で確実にミスなく処理が行えるため、「事務員はいらない」と言われる理由の大きな理由になっています。
コロナ禍のリモートワークも経たことで、データのクラウド化やペーパーレスも進みましたので、書類を整理して保管するような仕事も少なくなりました。
インボイス制度の開始に向けて、各社が請求書郵送不要のサービスを展開しました。仕訳も自動で起票してくれます。
外注サービスの増加
事務仕事を外注で請負うサービスや、クラウドワークスなどのクラウドソーシングの台頭により、「事務仕事があふれた場合には新たに事務員を雇うのではなく、外注をすればよい」という認識が一般的になってきました。
月収20万円の事務員を正社員として1名雇った場合のコスト計算として約35万円/月以上掛かるというデータがあります。年間にして約420万円以上かかる計算です。
不動産や建築、貿易、医療など一部の業界では特殊な事務仕事が発生しますが、経理や総務など一般的な事務仕事で外注先を見つけるのは簡単です。
経営者からすると『事務員はいらない 、必要な分だけ外注しよう』となってしまいますね。
利益を生み出さないから
事務員と言っても色々な種類がありますので、一概には言えませんが、事務員が行う仕事で利益を生み出すことはほぼありません。事務部門は非生産部門と分類されます。
営業マンはたとえ今月の売り上げ(契約)が坊主だったとしても、根気よく育てることで利益を生み出す可能性がありますが、事務員を根気よく育てても売り上げは上がりません。
中には、事務員が書いている企業ブログやSNSを見て、親しみやすさを感じて店に足を運んでくださったお客様がいて、その結果、利益が生まれることもあります。
しかし、その売上は営業職の上げた売り上げと認識されます。
AIじゃダメ!人間でなければできないことがある!
先回りして行う人へのサポート
事務職は会社全体の業務サポートが仕事です。
そのため、事務員には先回りしてサポートをすることが得意な人も多く、社内で「気の利く」存在として必要とされている人が多くいます。
先回りして人のために動くことはAIにはできません。
経験や思いやりがある人間だからこそできる仕事です。
価値に気付いて価値を生む
事務員が書いている店内ブログを見て、親しみやすさを感じて店に足を運んでくれ、その結果で利益が生まれる・・・という先ほどの例のように、会社に価値を与える仕事は人の心が無いとできない仕事です。
なぜならAIは、「自社の顧客が何に価値を感じるのか」ということを知らないからです。また、例えAIにその価値をインプットして適切なブログ投稿を行うことができたとしても、人の感じる価値は時間と共に変わっていきます。世代や性別によっても違います。
毎日実感していることがあります。営業マンは自社の商品の説明やアピールして、目の前にいる一人のお客様に適したプレゼンはできても、企業そのものが本来持っている「80年にわたり地元に密着している」「離職率が低く、長年の経験をもったスタッフが対応する。新人が対応する場合も、経験豊富な先輩がしっかりフォローする」「同業他社との連携が得意で、お客様の利益を優先し、自社一択のごり押し営業をしない」などの目に見えない価値をアピールすることは苦手だったりします。
そういった『消費者目線でみると実は価値の高い会社のエピソード』に気付けるのは、実は事務員さん、特に女性だったりすることが結構あるものです。
事務員はいらない と言われないためにできること
事務員はいらない と言われることはもう止められません。悲しいかな、そんな時代がもう来てしまったのです。嘆いている暇なんてもうありません。マインドをチェンジして新たな扉を開いて歩き出しましょう。
気の利く存在になる
技術力、処理スピードではAIに勝てません。
人だからこそできる思いやりを持った対応ができる人になりましょう。
共感力を養う
いまの事務仕事をこのまま続けていきたい、新しいことはもうできないと思うのであれば、AIができない仕事を極めるしかありません。
- 人の感情に寄り添い
- 臨機応変な状況判断を行い
- 主観や経験をもとに、先回りして人のサポートを行う
「共感力」は女性の特性として挙げられることが多く、メリットにもデメリットにもなり得ます。
「共感力」を良い方向でビジネスの場で発揮できれば、メンタルヘルスケアの補助的役割から離職率の抑制に繋げることも可能です。
SNSなどWebマーケティングを行う
現状、SNSをされている会社やお店は沢山ありますが、軌道に乗っていない会社が多いです。
大きな会社であれば広報部などがある専門の担当者がいるとおもいますが、持ち回りで記事投稿をしているような会社では、SNSやWebの更新は何よりもネタ探しが面倒で、敬遠されることが多い業務です。
もし広報部がない会社で、他の人が誰もやりたがらないようなら、Webマーケティングを勉強してSNS担当者になることをお勧めします。
「もうLINE公式は別の人が担当しているから・・・」という場合であれば、上司にInstagramアカウントの開設を進言してInstagram担当になってしまいましょう。
Webマーケティングの知識は今後の自分の為にも役立ちます。
ITスキルの向上を図る
「ITスキル」と言ってもWordやExcelなどの技術を高めて資格を取りましょうという話ではありません。
AIなどの自動化サービスは2023年10月開始のインボイス制度に合わせて確かにかなり普及して一般的になってきましたが、実感としても、正直各社に合わせたサービス導入を行えている会社はほとんどありません。自動化サービス提供側も人不足なので、サポートが手薄いままで法律施行に合わせてリリースした会社がほとんどです。
ITに使われる側ではなく、ITを使いこなす側の人間になるのです。
専門性の高い業種を見越したスキルアップを目指す
経理事務員であれば税理士や国際会計士を目指したり、より高度な金融事務を行える知識を身に付けていくことも大切です。
ここで大事なのは、税理士事務所で働く補助員になれる程度ではダメで、税理士資格がいるということです。金融事務も銀行に就職することや、事務員になることが目的ではありません。投資に関する話を時事ネタ含めて話ができるくらい、専門家にならなければいけません。
転職・キャリアチェンジという選択肢
事務職は転職市場では倍率も高く、しかも長く働いても年収アップの可能性が低い職種です。
転職活動が簡単であるとは思いませんが、長く務めた先に希望の未来がないのであれば、広い世界を見に行くのも良いのではないでしょうか。
地方住みまたは地方への転職が可能な場合
地方であれば、小さな会社で特に社員の平均年齢の高い会社などは、今まで通りの働き方も出来ると思います。
ただし注意点もあります。
まず、小さな地方の会社の事務員は、本当にお給料が少ないです。
そして、昭和スタイルのハラスメントも残っていることが多いです。
小さい会社では事務員は1人です。薄給やハラスメントについて愚痴を言い合ったり、相談できる同僚はほぼいません。
地方の小さい会社の将来性ですが、会社を永続する気がないならIT化を行わないでしょうが、いつ会社がなくなるかわかりません。もしもM&Aで買収されるか、2代目に引き継がれるということになれば、そのタイミングで一気にIT化が勧められる可能性もあります。
ワークライフバランス重視の場合
事務職のメリットは休みの取りやすなどのワークライフバランスにおける点です。
しかし、「 事務員はいらない 」と言われている現在、営業職などの別の職種も働き方が変わってきています。
たとえば建設業では、土曜日に工事現場を稼働させないようにする動きが高まっていますし、2024年には働き方改革が業種指定で施工されます。そのため、事務以外の現場監督などの職種でもワークライフバランスを実現しやすくなってきているのです。
外出しない職種で探す場合
SNSを実際に運営することでWebマーケティングのスキルを身に付けたり、ITスキルを高めてエンジニアに転向したり、投資を勉強して投資アドバイザーになったり、私たち事務員の将来は可能性に満ちています。
事務職のメリットとして「外回りをしなくて良い」というものがあると思います。
日焼けをしたくない人や生理痛が重い人にとっては非常に重要なポイントです。
完全在宅ワークが可能な求人も増えてきました。
クラウドワークスやランサーズ、ココナラでもスキル販売ができますが、もしあなたに会計事務所での就業経験が2年以上、または給与計算業務経験が3年以上あるのであれば、ジャスネットコミュニケーションズがオススメです。
副業として仕事を受けることもできますので、一度見てみてはいかがでしょうか?!
自分で考えて動くことが苦手な場合
アウトソーシング系の会社に転職を検討してはいかがでしょうか。
住宅会社に就職して「事務」という役割を与えられるのではなく、事務仕事を専門に請け負う会社に就職して依頼された事務仕事を代行する、という働き方です。
アウトソーシング系とは少し違いますが、例えば「スマホで名刺の写真を撮ったら、名刺のテキスト情報を自動で抜き出して、自動で名刺リストを作ってくれるアプリ」という、いわゆるOCRの仕組みを使ったサービスがあります。
そういった会社に話を聞くと、『機械で読めないものは人が見てチェックして、手入力でテキストを抜き出したり修正します。だから当社のサービスは精度が高いんです』という謳い文句で営業されます。
ITが進んだ結果として、ひたすらデータチェック&データ入力という単純事務作業がこの世に存在しています。
もちろん、OCRの精度が上がり、AI技術との組み合わせることで、チェック&入力を行う人的口数はどんどん減っていくでしょうが、しばらくは需要がありそうです。
自分で考えて動くことが苦手な人には合っているかもしれませんね。
まとめ
コロナのずっと前、2014年頃にオックスフォード大学のオズボーン准教授らがまとめた「The Future of. Employment(雇用の未来)」が発表された時から、一般事務職は10年後に消えるだろうと言われていました。コロナ禍を経た2022年には、さらに10年後には日本人の49%が機械に職をとって代わられると言われています。(詳細はPRESIDENT WOMANさんの記事をお読みください)
PRESIDENTwomanオンライン「49%の日本人が機械にとって代わられる」10年後に自動化される職業、生き残る職業10選 | PRESIDENT WOMAN Online(プレジデント ウーマン オンライン)※本稿は、宮本弘曉『101のデータで読む日本の未来』(PHP新書)の一部を再編集したものです。いま世界では、①人口構造の変化 ②地球温暖化対策によるグリーン化 ③テクノロジーの進歩という3つのメガトレンド…
女性が職を失う可能性が高いという記事もあれば、女性のように人の心に寄り添う職は大丈夫だと書く記事もあります。しかしとにかく、事務職が今の状態のまま、今後10年間継続することはないでしょう。
一度、今の自分の能力を棚卸するために、ココナラでどんなスキルが売られているかを見てみると良いでしょう。
コメント